引き続き,熟達についてです。
熟達のためにはまず「遊ぶ,楽しむ」っていう段階が必要で,
その理由は,
「主体的に楽しんだり,色々試す癖をつけておけば,伸び悩んだ時にも突破口を見つけやすい」
「プロセス自体が楽しめることで継続が圧倒的に簡単になる」
という事でした。
これだけでもいかに楽しむことが大事かってのが分かりますね。
しかし楽しむ癖をつけるメリットはまだあります。
今回フォーカスするのは,「思いっきり動ける」という点です。
その人の性格にも結構左右されますが,習ったことをそのままやる場合って,ちょっと控えめになることも多いですし,「上手くやろう」「正解しよう」と考えてしまうと動きが小さくなりがちです。
なんせ軽く動いたほうがコントロールしやすくて失敗しにくいから。
もちろん必要なことですけどね。
パワーを落としてコントロールを上げることで,上手くやることももちろん必要です。
しかしこれを最初からやってしまうことに大きなデメリットがあるんですよね,
例えば二人が同じ技術を習得しようとしたとして,,
A,思いっきり動いて後から形を整える
B,形を整えてから後で思いっきり動く
この2パターンに分かれたとします。
個人差もあるし技術にもよるので,どっちがいいかは言い切れないところですが,一応今回は「Aがいいよ」っていう立場でお話しします。
多分先に上手くなるのはBです。
Aがぐっちゃぐちゃの動きをしている間にBはそこそこ上手くなるはず。
そしてAが結局形を気にして小さく動かなきゃいけない段階にくるので,最初の思いっきり動いていた時間分習得が遅れます。
まぁまぁのレベルになるのもBが早い。
しかしこの後,形が整った状態である程度大きく動いた時,Aは気がつきます。
「何も考えないで思いっきり動いてた時はもっと思いっきりだった」と。
「もっとできるはずだ」って感覚でわかるんですよね。
でも形から入ったBは形を気にした上での思いっきりが十分思いっきりに感じてしまいやすいです。
そうなると技術を習得した後,極める段階ではAの経験がプラスに働くので,差が出てくる。
最初から制御をしてしまうと最後の段階で困るってことですね。
だから最初から難しくて決まりの多い動きをやるのではなく,あまり考えないでできることや,自分で思いついた動きを思いっきりやるっていう経験が後で役立つ。
そのためには「こうしなきゃ」って固くなるんじゃなくて,楽しんで思いっきり動くのが重要。
最初は誰でも下手だから形はカッコ悪くて,控えめに下手よりも下手なのが目立つと思います。
表面上はめっちゃカッコ悪いと感じるかも。
でもそれが後で大きなアドバンテージになるし,思いっきり楽しめている姿はわかる人が見れば全然カッコ悪くない。
ちゃんと練習したら上手くなりそうだな〜って思います。
教わる側は恐れずに思いっきり楽しんで,教える側は思いっきりやっても楽しめる環境を作るのが大事。
下手で思いっきりやってる人をバカにするような人がいたら難しいですからね。