今日は「スポーツ遺伝子は勝者を決めるか」という、スポーツの技術向上に関する本を読んでいました。
個人的に興味がある分野だからかもしれないけど、めっちゃ面白かったですね。
スポーツ、芸術、仕事など、何かの技術を磨きたい人は一読の価値ありです。
今日は本の中に書かれていた「一流選手とそれ以外の違い」についての話をシェアします。
【チェス選手の実験、再現力の差】
一流選手とそれ以外との違いの一つに、「チャンク化(物事をひとかたまりにまとめて理解する)」というものがあります。
それがチェスの選手を対象に行われた実験で示されているんですが、これが面白いんですよね。
実験対象の選手はそれぞれ、
・グランドマスター(たぶん世界のトップ選手的な人)
・小さな町のチャンピオン
・一般レベルのプレーヤー
という風に技術レベルの差がはっきりするように集められました。
実験内容は、
チェスの対局の盤面を数秒見て、その後同じ盤面を再現できるかどうかというものです。
クイーンがここにあって、ナイトがここにあって、という記憶がどれだけ正確にできるかですね。
その結果、
グランドマスターは90%以上の正確さで再現ができました。
町のチャンピオンは70%、一般プレーヤーは50%の正確さです。
実力に応じて正確さに差が出たわけですね。
しかも、グランドマスターが3秒間見て正確に表現した盤面を、一般プレーヤーは15分見ても正確には再現できなかったみたい。
そのくらいの差があるものなんですね。
これだけ聞くと、「記憶力が実力に影響するのかな」って思うかもしれませんが、ちょっと違うようです。
実際の対局を再現した盤面では選手間に大きな差があったんですが、盤面上に無作為に駒を配置した場合は、選手間に差がなかったみたいです。
グランドマスターを含めて、誰もちゃんと覚えてられない。
試合で実際に起きる状況であれば、上手い選手の方がよく覚えてるけど、適当に駒を置いただけでは差がない。
つまり、単純な記憶力の差ではないわけですね。
【一流ほど専門分野の情報がつながってる】
さっき、実際の試合のような盤面であれば、競技レベルの高い人ほどよく覚えていると書きましたが、それは上手い人の方が覚えることが少ないからということです。
僕はチェスをしたことないので、詳しいことは分かりませんが、おそらくある程度の型のようなものがあって、「この攻め方にはこの守り方」みたいな方程式がたくさんあるんだと思います。
だから、相手のクイーンがここ、ナイトがここ、ビショップがここ、という風にバラバラに覚えればたくさんの記憶をしなければいけませんが、もし型が頭に入っていれば、複数の駒の配置がセットで一つに見えます。
覚えることが大幅に減りますよね。
そして基本から逸脱した特殊な型も、レベルが上がるにつれて頭に入っていきますし、圧倒的な量を経験することで、即座に思い出せるようになっているはず。
だから3秒で記憶できたり、正確に再現できるんですね。
つまり、
・技量が高い人ほど、チェスにおいて意味のあるコマの並びを一つの塊として捉えている
・それは過去の膨大な経験をもとに、多くの情報を一塊に理解することができたということ
ですね。
【スポーツやダンスでも同じ】
これは他の分野でも共通していて、ダンスなんかもそうです。
複雑なステップは、腕と足と首を別々に動かすこともあります。
一つ一つを別々に意識していたら非常に難しく、体がひとかたまりに理解できないとスムーズにはできません。
しかも音楽に合わせて動いたり、観客を意識したり、動きだけに集中するわけにはいかない。
動作だけで3つも4つも考えながら踊っているうちは、音楽を聴いたり、表現を深めるのはまだ難しい。
何度も何度も練習して、ダンスのステップがただ歩くのと同じくらい簡単にできるようになればOKですね。
ハイレベルな人になるほど、めちゃくちゃ難しい動きを日常動作のようにこなします。
ということで、
・一流の人ほど、多くの情報を一つにまとめている
・それは複数の情報を意味のあるひとかたまりとして捉える「チャンク化」ができているから
・チャンク化するには膨大な反復回数が必要
・一流ほど大量の時間を競技に費やしているからそれができる
ですね。
結論は超シンプル。
上手くなりたかったら練習しましょうw
No.1265