思い込みは文化によって変わる

前回に引き続きプラセボ効果についてのお話です。

プラセボ効果というのは、本当の薬や手術ではなく、「偽の薬」や「手術したふり」だけでも治療効果があったりする現象です。

患者さんには偽の治療をすることを言わないので、「治療を受けた」と思っている状態で行います。

 

で、このプラセボ効果は、状況によって効果が色々と変わるんですが、それが少し面白いです。

 

例えば、腰の痛み対しての比較実験で、鍼と薬を比べたものがあるんですが、これは鍼の方が効果が高い様です。(痛みの種類によるけどね)

本物の鍼には効果があり、偽物の鍼にも同じ様な効果がある。

本物の薬には効果が薄くて、偽物の薬も効果が薄い。

 

本物の鍼と本物の薬に差があるのはわかるんですけど、偽物の鍼と偽物の薬に差があるのって面白いな〜って思います。

だってどちらも何もしてないわけですからねw

 

これは「この症状には鍼が効くだろう」という思い込みが患者側にあったものと考えられます。

 

このイメージが大きく影響するわけで、「効きそうなイメージが大きいほど効果も大きい」ということを示す実験が他にもあります。

実験内容は全部偽物の治療なんですが、

・錠剤の薬を飲む

・カプセルの薬を飲む

・注射を打つ

・手術をする

という四つで比べています。

 

これは下に行くほど大袈裟な治療で、患者側の期待値も高いと思われます。

その結果、大袈裟になる程効果も大きいことがわかりました。(全部何もしてないのにねw)

 

また、カプセル薬にいろんな色をつけて比べた実験もあります。

青と赤と緑のカプセルを用意し、中身は全部偽物です。

様々な症状の人に飲ませてみたところ、

・青は不眠に効果が高い

・赤は痛みに効果が高い

・緑は不安に効果が高い

という結果がありました。

まさか色で効果が変わるとはねw

 

こうなるとアロマオイルのパッケージとかも色は重要かもしれませんね。

 

そしてこういうイメージは個人でも違うし、国やコミュニティでも異なります。

例えば薬を使ったプラセボ効果の調査では、デンマークで59%の人に効果が出た内容でも、ブラジルでは7%にしか効果が出なかったという場合がある様です。

デンマーク人は信じられる状況でもブラジル人は信じられないような文化の違いってことですかね。

 

確かに文化によってイメージが形成されるので、心理的な影響は変わりますよね。

例えば日本人相手なら、風邪で具合が悪い相手にネギを巻くとかで効果が出るかもw

 

ということで、その国の文化や個人の持つイメージに合わせて、「これは効くだろう」と思い込む事ができれば効果が出やすいと考えられます。

だから痛みとかの治療をするなら、自分が信じられる病院とか薬とかを選ぶのって大事なんですね。

 

 

No.1067

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